ryukyutokyoのブログ:JAZZと哲学と…

DJ.PANK_kunryu (Dj.薫琉)です。東京ヴェルディと沖縄をこよなく愛する、酔っ払い🥴パンクスです。1955年3月新潟市生れ新潟高校ジョリー・チャップス、上智大探検部出身。40年間勤務した職場を大怪我、肝機能障害、糖尿病、過緊張症で退職しました。現在、アルバイトをしながら療養中です。ゴールデンカップス他GS、freeJAZZ、ムードコーラス歌謡

「あの空の下で」吉田修一の中では一番面白いかな~!?

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 自転車泥棒;モダンタイムス;男と女;小さな恋のメロディ踊る大紐育;東京画;恋する惑星;恋恋風塵;好奇心;ベスト・フレンズ・ウェディング;流されて…とくれば、映画の題名です。

 これが吉田修一の「あの空の下で」の連作小説の題名です。

 《 芥川賞をはじめ、文學界新人賞山本周五郎賞毎日出版文化賞大佛次郎賞など主だった文学賞を受賞した吉田修一。人間と人間の関係の曖昧さを平易な言葉でドラマティックに描き出す彼が、「読み切り連載小説」という新しいスタイルで物語を紡ぎはじめた。
 初の読み切り連載小説のシリーズタイトルは『あの空の下で』。全日空機内誌『翼の王国』で2007年4月から連載スタートした。一篇ごとに主人公が変わり、物語が進んでいく。
 主人公は、いわゆる“普通の人”ばかり。そういう人たちの日常のワンシーンを写し取っているのに、吉田修一の手にかかった途端、独特な光彩を放ちはじめる。ありきたりの時間や空間が、かけがえのないものであるかのような趣になるのだ。
 身近すぎて見過ごしてしまうような些細なことへの愛しさ、苦しさ。それに伴う心のゆらぎ。馴染みのある感情が織り込まれた物語は、自分が経験しているかのような錯覚を呼び起こす。淡々と描かれるシーンに涙を誘われ、研ぎ澄まされた言葉に切なさが込み上げる。物語を読み進めるうちに主人公と自分の姿が二重写しになり、心が掻き乱されていく。フィクションであるはずなのに、目の前の現実よりもさらに強いリアリティを伴って心に迫ってくるのである。
 今回刊行された書籍『あの空の下で』は、『翼の王国』2008年9月号まで掲載された読み切り連載小説12篇とエッセイ6篇を収録。ここに収められた作品には、使い古された恋愛小説の決め台詞のような陳腐な言葉はない。安易なハッピーエンドもない。しかし、読み終わった後もずっと、脳裏に焼き付いて離れなくなるリアルな言葉がある。読み返す度に心を揺さぶられる物語の数々に、ぜひ触れていただきたい。 》

 これが編集者・小黒一三率いる木楽舎の編集者の言葉です。ここ迄、言われればもはや、何もいうことはありません。たぶん、小黒氏自らの言葉ではないでしょうか。

 吉田修一は97年、小説家としてデビュー作となった「最後の息子」で文學界新人賞。2002年に「パレード」で山本周五郎賞、さらに「パーク・ライフ」で芥川賞を受賞。そして2007年には「悪人」で大佛次郎賞毎日出版文化賞をダブル受賞しました。

 しかし、全て読んでみましたが、「あの空の下で」が一番面白いのではないかと思っています。

 つまりは小説家・群雄割拠の時代にあって、受賞作品が面白くないとは言いませんが他の作家でも「ありかな…!?」という作品が殆どです。

 まあ、それだけ手ダレの作家が多いということでしょう。

 「悪人」では人間の悪意の在り方を様々なパターンで浮き彫りにし、ノワール小説の新しいジャンルに挑戦した作者ですが、この「あの空の下で」は軽いタッチで描くポップでお洒落でウエットな人間をドライに描く小説群です。

 ANAの企業PR誌という性質上、癖があったり、人間関係に陰影の深さがあったりする作品になりえないことは前提ですが、旅と飛行機に絡んだエピソードを中心軸に置き、読むものを否応なく「翼の大国ワールド」に引き摺り込んで行く筆力・能力は対した者です。

 「翼の大国」そのものが小黒一三氏の編集によるものということもあったのでしょうが…

 異才の編集者に掛かると作家が化ける良い例ではないでしょうか。


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