この本を読め~!「隠蔽捜査 (新潮文庫 )」:今野敏・620円
この本を読め、などどと不遜な言い方をしてしまいました。申し訳ありません。しかし、620円の有効な使い方としては、そして休みの一日を大好きなBGMでも流しながら過ごすにはこんな安いものはありません。
この作品に描かれる竜崎と言う人物の人間像は、いささか屈折の感が、否めませんが恐ろしく魅力的です。
そこに描かれる一つの家庭像、そして父親像も我が世代、昭和29年・30年生まれの者としては親近感と新しい理想型を提示しています。
ストーリーの説明など、本の帯を観ていただければわかります。何も言わないのがルールです。
今野敏さんは多作です。玉石混合といっても良いでしょう。私は今のところ「リオ」もお薦めできるのですが、他のシリーズ全てを、という訳には行きません。
彼は、一つ下ですが、私が一浪していたため、同じ大学で同じ学年、お隣の新聞学科にいました。全くと言ってよいほど目立たぬ人でした。
しかし、彼が描くシュチエーションは同じ時に同じ場所で、同じ空気を吸ったものとして恐ろしく親近感がありデジャブを観ているように感じます。
そして、彼が描く大学でのいくつかのエピソードは全く同じ場所で同じ経験をしているのです。(「隠蔽捜査」には出てきませんが…、なにせ東大卒のキャリアの話ですから)
しかし、そんなことは兎も角としてもさすがに吉川英治文学新人賞を受賞しただけはある作品です。
必ずや至福の時を過ごせることと思います。約束いたします!