ryukyutokyoのブログ:JAZZと哲学と…

DJ.PANK_kunryu (Dj.薫琉)です。東京ヴェルディと沖縄をこよなく愛する、酔っ払い🥴パンクスです。1955年3月新潟市生れ新潟高校ジョリー・チャップス、上智大探検部出身。40年間勤務した職場を大怪我、肝機能障害、糖尿病、過緊張症で退職しました。現在、アルバイトをしながら療養中です。ゴールデンカップス他GS、freeJAZZ、ムードコーラス歌謡

天然コケッコー:役者が躍動する、天然の新しい地方映画

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 『リンダ リンダ リンダ』の山下敦弘監督がくらもちふさこ原作の少女漫画を映画化した作品である。

 あいかわらず、カット割りの不安定さはあるものの、情景を切り取る鋭いカット挿入などで、普段は気づかない天然の美を表現する俊英振りを発揮している。

 今回は島根県の浜田の四季の移り変わりが舞台である。地方を描くシナリオ映画が増えていて、良い傾向であるが、その意味では大いに成功している作品である。

 脚本は『ジョゼと虎と魚たち』のシナリオライター渡辺あやが担当しているが、この作品に限らず原作漫画や原作小説の脚本卸しなどに頼らずにシナリオライターの腕一本に任せることは出来ないものか。

 興行としての宣伝の問題や、配給の関係もあると思うが、今後の日本映画の行く末を考えるならば、書き下ろしの良い脚本にもっと力を注ぐべきではないか。

 ストーリーに起承転結を求めるわけではないが、自ずとから、観客が観たい場面やシーンを追求していけば原作なしでも起承転結の着いたシナリオが出来る筈である。

 天然とは在りのままである。しかし、この在りのまま演ずることが難しい。

 また、監督の腕に掛かるのである。この作品では役者それぞれが役柄に没頭することにより成功し、躍動感を作り出し、新鮮さ溢れる地方映画となった。

 とりわけ、子役(子役と言う言葉はもはや死語だね!)の演技が素晴らしい。正に、天然である。

 夏帆柳英里沙は大バケするであろう。

 松田先生役の黒田大輔さんは上手い!

 このような役者を使い切る山下監督の手腕は、自然や風景や情景や人々の交流などと言う言葉では言い表すことが出来ない天然を、そのままに空間から切り取り、都会と地方を作業分解する映画作りの良い見本となるだろう。