ITとカーストインド・成長の秘密と苦悩:伊藤洋一を読む
ジャーナリスト経験、ニューヨークでの為替ディーラーの経験で、的確な経済情勢の分析を身近な視点で語ることができると言う、稀有な存在であると思う。
この本にはいろいろな評価があると思うが、社会と経済の活力の源泉は教育であると言う重要な視点を、明確に打ち出している点で大いに評価できるものである。
インド滞在や取材期間の短さ、聞き書き程度のルポということを自身もオープンにしており、素直な視点で嫌味はないが、数々の間違いも多い。
インドに象徴的に現れている、経済成長を享受する人々と、その恩恵を受けない圧倒的多数の貧困層との乖離の現実を、政治の話も含めて、全世界経済的な視点と社会的視点に据えられている点などを考えると、鋭く筋の通った切り口だけに残念である。
経済成長の過程にある、大国インドと経済成長の果てに、貧富の差が広がり、経済階級的に分化して脱出口が見出せない日本を比較検討することは重要である。
やはり日本はアジアに視点を置き、教育立国にそしてインテリジェンスを輸出する国にならなければならないのいである。