ryukyutokyoのブログ:JAZZと哲学と…

DJ.PANK_kunryu (Dj.薫琉)です。東京ヴェルディと沖縄をこよなく愛する、酔っ払い🥴パンクスです。1955年3月新潟市生れ新潟高校ジョリー・チャップス、上智大探検部出身。40年間勤務した職場を大怪我、肝機能障害、糖尿病、過緊張症で退職しました。現在、アルバイトをしながら療養中です。ゴールデンカップス他GS、freeJAZZ、ムードコーラス歌謡

哲学するJAZZ!金剛督さんの「Our Tribal Music」はインスパイア・ミュージックである!

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 哲学するとは、思考し思索し、思い悩みむことである。のみならず、他者の思考、思索の過程や、結果を探査、検証して、歴史と思想を検証し、自己の自問をより深く掘り下げて行く事である。そして、結果として自己の自由を克ち取る事である。

 そして自己と他者の交感の中で、その志向性に修正を加えつつ、ある時は解体的に、ある時は創造的に他者との交感を新しい創造物の産出に止揚する行為である。
 
 JAZZは、在るところの音楽史と精神史、思想推移の種々相に演奏者の生体験、実相を加えてプレーヤーの内質、曰く哲学と磨き上げられてきた技術の様式の複合物としてが表出され、聴くものの前に存在する。
 
  金剛督(こんごうすすむ)さんのJAZZは正に哲学する。敢えて、ライヴの次元を切り取るならば、ある時は不動と可動を繰り返し、ある時には静止性を確立し、拡散して、破壊に向かう。ある時は過程であり、またある時は結果である。その破壊は必ずや収斂へと向かう。

 私はフリーJAZZという言葉は好まない。

 freedomの定義は汎用であり、実に広汎な定義を含むものであり、カテゴリーさえ確立されていない。

 金剛さんは、12歳からsaxophoneを始め、牟田久壽氏、須田寔氏に師事してきた。金剛さんのJAZZはmethodとはなにか、を考え、日々実践されてきたのであろう。

 まさにimprovisationの当体、即ち、客体的に対象化できないもの、主体的にそれ自体の働き、そのものとなって観る外に無いものを起点にすることが出来る、類まれなアーティストであることをこのアルバムで正に証明している。

 methodの確立なきimprovisationなど在り得ないのである。 

 金剛さんのREEDS及びフルート演奏は音のパルスを発しながら私をインスパイアする。竹内直さんとの解体的な交感と、創造的交感を繰り返し、繰り広げながら、思念の迷宮に引きずりこんでいく。しかし、決して音と思念の迷宮の中に私を置き去りにはしない。

 彼の思惟が、methodに裏打ちされ、他人が使い古した、イディオムや自己のものではない思惟と徹底して隔絶させているからである。この点でアンソニーブラックストンの「タウンホールコンサート1972」よりも、より「FOR ALT」を想起させる。

 楽器のポジションを目まぐるしく転換させながらも、次の思念へ誘う道案内を手際よくこなして行く。投射し投影する音の鏡を現前に繰り広げながら次のコンセプトを先験的に提示する手ダレノの技を魅せていく。

 揺さぶりを掛けるポジションと次なる指向性を指し示すポジションの任務分担を次々と重ね、相手に委ね、軽々と次のコンセプトに導いていく。

 これぞ、インタープレーの醍醐味。

 叫びはしながら、狂気には走らない。そして決して狂気に捉われることは無い。瞬時的に「エリーゼのために」「麦畑」「アリラン」のフレーズを慈しむ様に楽器に載せながら、愛しむ音を重ねてゆく。そして時には楽器に最大限の能力を発揮せよと冷酷に厳命する。

 まさに安寧と鼓舞を基調としたインスパイア・ミュージックを展開させている。

 人間など如何程のものか。如何程の文献をあさり、如何程の記録を収集し、模倣しても、その人間の哲学が表出されえない限り、如何に耳障りが良かろうが、快適に聞こえようが、はたまた、エネルギーを感じさせようが、そんなものはガラクタの寄せ集めにしかならないのだ。

 たんに、JAZZなど楽しければよい。気分がよくなりゃ良い。JAZZは聞き手が作るもの。多言無用の方々には、こんなコメントは受け入れがたいでしょうね。無視して頂いて結構。

 金剛さんは、このライヴの後、1997年に癌を発病、半年間の闘病生活を送られたという。後に、この竹内直とのDuo「 OUR TRIBAL MUSIC」をリリースした。工房での仕事とトレーナーと仕事をこなしつつ、着実に演奏活動を続ける。はたまた、ボランティア活動にも勤しむ。これぞ、JAZZである。

☆:Our Tribal Music(VBCT 0777)

1 The Dance of Two Dragons (9'38)
2 Song for the Night Breeze (15'45)
3 In the Deep Forest (7'30)
4 Lullaby (2'03)
5 March of Black and Silver (7'52)
6 To Travels (8'50)
7 Our Tribal Music (10'42)

:金剛 督 (as, ss, bcl, fl, voice)竹内 直 (ts, fl, bcl, voice):1996年11月4日、横浜「リトル・ジョン」でのライヴ録音。