ワン・トーンでJAZZの底なし沼に引きずり込む凄み!渋谷毅・潮先郁男デュオ:《国立NOTRUNKS》
昨晩の《国立 NO TRUNKS》のライヴは渋谷毅さんと日本JAZZギタリストの重鎮、潮先郁男さんのデュオでした。
第一部は渋谷毅さんのソロ演奏から始まり、温かでリリカルに鍵盤を奏でるスイングのオープニングで、今晩の「生で聴くJAZZのデュオの温かさ」を予感するものでした。
しかし、時が経ち、潮先さんとのゴージャスなインタープレーが始まると、そんな甘い予感は粉々に打ち砕かれてしまいました。
お互いがガチガチとぶつかり合って、火花を散らす、というものでは決してありません。
月明かりの砂漠の中を二頭の駱駝が語らいながら、永い永い厳しい旅を続けるという風情です。
ある時は、会話を暫し止めて、モノローグに耽り、ある時はお互いの身の上話をトツトツと語り合うというプレイです。そして永い旅の間には言い争いも起こります。
ある時は、会話を暫し止めて、モノローグに耽り、ある時はお互いの身の上話をトツトツと語り合うというプレイです。そして永い旅の間には言い争いも起こります。
また、例えれば、まだ暖かい大海洋の海原から二頭のザトウクジラが悠然と南氷洋を目指して、旅をする様でしょうか。
ワン・トーンでひたひたと表現するお二人のインタープレイに背筋がゾクゾクしてきました。
そして、気がつくと、底なし沼を覗き込み、その底なしの沼に引き擦り込まれるような凄みに襲われていたのです。
中々経験できない心地良さです。これが、JAZZの醍醐味なのでしょうか。
しかし、渋谷さんのピアノテクと紡ぎ出す音世界、潮先さんのベースラインの確たるスゥイングリズムのテクニックと表現力には恐れ入りました。
言葉で表現する術を知らないのが真に残念です。
第二部は丁度、遊びに来られていた宮野裕司(altsax)さんが飛び入りでセッションに参加され、宮野さんは抑えた演奏でしたが、大いに盛り上がりました。
来週の金曜日の「NO TRUNKS」の出演が、我が大学の大先輩、宮野裕司さんのグループなのですが残念ながら、当日は大学探検部OB会の新年会に重なり、聴くことができません。またの機会が楽しみです。
実は、渋谷さんのプレーを間近にするのは、今は無き西荻窪のロフトでの演奏以来30年以上経っています。
潮先さんは2・3年前の横浜JAZZプロムナード以来でした。歴史は日夜、JAZZの存在を翻弄し、そしてJAZZプレーヤーは歴史に刷り込まれることなく、自らの音を磨き込みながら先鋭化するものなのだ、ということを実感しました。
渋谷さんは相変わらず、尖っていました。ストレート・ノーチェーサーのようです。お年の分だけ柔らかくなられていましたが…。潮先さんは本当に腰の低い優しい方でした。お二人に丁寧にご挨拶をして店を後にしました。
潮先さんは2・3年前の横浜JAZZプロムナード以来でした。歴史は日夜、JAZZの存在を翻弄し、そしてJAZZプレーヤーは歴史に刷り込まれることなく、自らの音を磨き込みながら先鋭化するものなのだ、ということを実感しました。
また、「NO TRUNKS」で至福の時を過ごすことが出来ました。
:本日、金剛督(こんごうすすむ)さんから、竹内直さんとのフリーデュオアルバム「OUR TRIBAL MUSIC」を頂きました。有難うございました。
イヤハヤ、切り刻まれるような手強いJAZZです。心して何度も聴き込まねばと覚悟をしています。いずれご紹介致したいと思います。