アーシーJAZZの極点・Archie Shepp:「Blase/Live at the Pan-African Festival」
そろそろこの二枚のアルバムのことに触れなくてはならない。
私は、幸いともカップリングのCD他、二枚の古いLPを持っている。
「Blase」は彼のブルース・サウンドの極点であり、「Live at the Pan-African Festival」は当時の彼のアフリカ回帰思想に基づくブラック・アフリカ・ルーツサウンドの極点であるからである。
例えば、沖縄の島唄は四拍子と三拍子の複合リズムで音階はペンタトニック。このことは、日本全国に共通しているものではなく、飽くまで沖縄の独自の文化の上にミュージックルーツとして存在しているのである。
同じようにSheppのJAZZの原点もビバップとブルースであっても、そこに彼のJAZZの基本をなす、独自の思想背景とミュージックルーツが存在するのである。
しかし、彼のJAZZとの取り組みはその伝統を重んじ、激しい独学と練習を続ける中で、JAZZミュージックの本来の意味を問い続け、演奏のスタイルとその思想を確実に大きく変化させ続けてきたのである。
所謂、変容である。
しかし、多くの誤解があるように、彼は決してコルトレーンの後継を目指したのではなかった。彼は、きっぱりとコルトレーンの後継であることを拒否したのであり、後継と言う言葉はコマーシャリズムとしては意味を持つが、彼には何も意味を成さず、独自サウンドの道を目指したのである。
1962年、Archie Sheppは自らのグループを結成する。
その発端たるtpのBill Dixonとのグループ結成で、彼の独自サウンドへの歩みとその傾向はArchie Shepp-Bill Dixon Quartet (Savoy MG 12178)にはっきり現れる。
その発端たるtpのBill Dixonとのグループ結成で、彼の独自サウンドへの歩みとその傾向はArchie Shepp-Bill Dixon Quartet (Savoy MG 12178)にはっきり現れる。
1963年以降、The New York Contemporary Fiveなどの吹き込みでSheppはFREEの頸木と真っ向から勝負しながらも、彼の独自サウンドをより深く突き詰めて行く。バップとFREEとの融合と止揚を体験し実践したのである。
彼はコルトレーンからテクニックと慈愛・敬愛を学び、受け継いだが、全く違うサウンドを目指した。その後の、政治的な発言とアピール、そして暴力的とも言える音楽での自己表現である。まさに、音楽で解放闘争を支援し、権利闘争を開始したのである。
そして、Archie Shepp Octetの結成とMama Too Tight (Impulse A 9134/August 19, 1966) の吹き込みで、新しきArchie Sheppのブルース・サウンドを発表するのである。
Tommy Turrentine (tp) Grachan Moncur III, Roswell Rudd (tb) Howard Johnson (tu) Perry Robinson (cl) Charlie Haden (b) Beaver Harris (d) というこのメンバーは大きく彼に影響を与え、彼を触発した。
Archie Sheppは、このメンバーとの邂逅を新たな出発点に、一方でのブルース・ミュージックを開始し、一方でのアフリカ回帰思想にも傾倒を深めていく。
1967年10月21日の「ワン・フォー・トレーン」Archie Shepp - Live At The Donaueschingen Music Festival (Saba/MPS [G] 15148; MPS/BASF [G] CRM 651, 21 20651-3) は彼のこの期の最高傑作である。
この演奏はコルトレーンへの大いなる敬意と決別のオマージュを表現したものであった。
と同時に、コンセプトとアンサンブルそしてドラマツルギーに徹底的に拘り、Sheppがコルトレーンを超えた、新鮮で鋭意なサウンドであった。
と同時に、コンセプトとアンサンブルそしてドラマツルギーに徹底的に拘り、Sheppがコルトレーンを超えた、新鮮で鋭意なサウンドであった。
ドナウッシュゲンで大きな自信を得た彼は更に、次の地平に大きく踏み出す。
そして、Archie Sheppが次に目指したものの極点がこの二枚のアルバムに収められているのである。
☆Archie Shepp・ Live At The Pan-African Festival
:Clifford Thornton (cor) Grachan Moncur III (tb) Archie Shepp (ts) unknown Algerian musicians
'First Pan-African Festival', Algiers, Algeria, July 29, 1969
'First Pan-African Festival', Algiers, Algeria, July 29, 1969
1. Brotherhood At Ketchaoua
2. We Have Come Back
2. We Have Come Back
☆Archie Shepp -・Blase (BYG [F] 529.318; Affinity [E] AFF 7)
:Lester Bowie (tp -3) Archie Shepp (ts) Chicago Beauchamps, Julio Finn (hca -1,2) Dave Burrell (p -1/4) Malachi Favors (b) Philly Joe Jones (d -1,2,4,5) Jeanne Lee (vo -1/4)
Paris, France, August 16, 1969
:Lester Bowie (tp -3) Archie Shepp (ts) Chicago Beauchamps, Julio Finn (hca -1,2) Dave Burrell (p -1/4) Malachi Favors (b) Philly Joe Jones (d -1,2,4,5) Jeanne Lee (vo -1/4)
Paris, France, August 16, 1969
1. My Angel
2. Blase
3. There Is A Balm In Gilead
4. Sophisticated Lady
5. Touareg
さて、この話は次回も続けなくてはならないだろう。
2. Blase
3. There Is A Balm In Gilead
4. Sophisticated Lady
5. Touareg
さて、この話は次回も続けなくてはならないだろう。