驚愕の渠(かれ)の旅に終わりはない。不破大輔:「巴里渋舞曲: 渋さ知らズ」を聴く…!
旅は…人それぞれである。目的を持って旅に出る人、それぞれ…。
私にとって旅は、旅先の気温や街角の温度、人々の体温や熱、そしてそよぐ風の風向きに同化する事である。つまりは目的が無い。 目的がない旅を重ねることが旅の目的である。
かつて山が好きだった。あの難儀な山に何故いくつもいくつも登ったのか。
登ることによって恰も、山と自己が同一化できると考えていたからである。
旅に出ても何もしない。まったく何もしない。ただ、歩き回りそして昼寝をするだけ。
何回も何回も同じところに旅をする。違和感がなくなるまで同じところに旅をする。居付いてしまえればよいのだが…。それでは旅ではなくなる。
私にとっての旅は、日常と非日常との同化にすぎない。だから、それが旅だと思っている。
“ダンドリスト”と称して、“風体の旅団”を率い、日本全国津図浦々、隅々を、そして茫漠として広い世界の国々を旅して回る。
彼らの糧はJAZZという楽器とダンドリ演奏の布施である。
彼と彼らは望むべき人々が居ようが居まいと旅をして回る。布施を集めてまた旅を重ねる。布施が集まらねば乞うても旅をする。
それが彼らの終わりなき旅であるからだ。
旅とは度である。度々重ねることが旅であり、生きてゆく糧なのだ。
旅を重ねる度に、その作品は圧倒的な寂寥を背景としながらも、寂寞とした音空間と同化され、巻き込まれた聴衆たちを一体化することで芸術として昇華される。
「渋さ知らズ」のこれまでの作品はそうであったし、この「巴里渋舞曲」も期待に違わない出来映えである。
そして彼らはライヴの人々である。時々にメンバーが変化し変遷してもライヴの“風体の旅団”である。その意味では、もっともライヴな「渋さ知らズ」を表現するCDである。(特典のステッカーもDVDも良い…)
渠(かれ)の旅に終わりはない。
:CD (2008/11/16) : 2枚組み
レーベル: インディーズ・メーカー
収録時間: 110 分 ・ASIN: B001HK0EA8
レーベル: インディーズ・メーカー
収録時間: 110 分 ・ASIN: B001HK0EA8
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